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2015-11-20

戦前のサワラ漁に思いを馳せる

馴染みのない方にはなんのこっちゃら?な文章ですが、
僕がどのように制作を進めているか少しでも想像して
いただけるかと思い、記すことにします。

151120_2005~01

僕は山間の農村に育ったので、畑の話はあるていど応用編で
お年寄り方の話を理解することはできるけれど、
難しいのが漁業に関することです。
いわゆる海人(うみんちゅ)の世界の物事です。

こういうときは、この島に住んでからの数少ない海の
体験を頭の中で総動員して、聞き描きに臨みます。

まったく知識ゼロの人にその極めたるなんたるかを
伝えるのは億劫なものです。

ですから、ある程度勉強してからかからないと、
お話にならない。質問をする相手方に、もどかしい
思いをさせてしまうのは僕としてもできるかぎり
避けたいものであります。

で、今宵は、戦前において、サワラという魚を
どのように仕留めていたか・・・ということに
思考を巡らせているのです。

まずもって、当時の漁具を、浮き彫りにしなければ
なりません。
カタチがこうでこうで・・・というのを、素材が
何だったか、聞いて描きだしてゆくのです。
で、その話を持ち帰って、描いてみて、見せて、
「こんなんじゃなーい!」
となって赤ペンで修正を加えて・・・と。
サバニ(沖縄特有の船)などは現在もあるので、
(船の構造や部位の名称を覚えてかからなければ
ならない、というのはありますが、)なんとかなる
のですが、現物が無いものを話を頼りにゼロから
描き起こしてゆくのは根気と手間がかかります。

で、う~ん、となりながら、本棚にある分厚い沖縄民具の
専門書をパラパラをめくっていたら、
なんとサワラ捕りに関するページがあるではないか!

151120_2006~01

灯台もと暗し。
ただこれですべて解決、にはならず、
この小さな白黒写真と、文章による道具
の説明文を元に描き起こして、またおじい
に見てもらって、というプロセスが待って
いるのですが。
しかし、大きなヒントを得られて、なんとか
可能性が見えてきたように思えます。

ちなみに、この本の記述は、本島中部の離島
のものを収録しており、本島南部の離島である
こちら側では、素材や名称が若干の差異が
あるようです。
ですから、
この地方では、こんなんだったようですが、ここ
ではどんなだったんでしょうか?
というアプローチができるかもしれません。
結果的に、記憶の中に失われかけていた漁具と
その方言名を残せるかもしれません。

制作の九分九厘はこのような
暗号を読み解くような作業に費やされます。

そして最後の一厘で、臨場感のある場面が
浮かび上がるのです。

 

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