2015-09-28
愛という名のもとに生み出された一つの棚
木工や大工の真似事のようなことを時々やるが、
先日ある方からの依頼で、キッチンに置く棚を制作した。
名付けて、「太陽のスパイスラック」。
僕は絵を描くのが本業であって、絵を描くということはすなわち
絵を描かされる、ということであるのだが、畑違いとも思える
棚作りもまた同じことで、これも作らされるという感覚で作るのである。
そういう境地では自我というものが全く存在しないのであるが、
今回のスパイスラックの制作を通して、僕は、無我の境地で
あるなかにあっても、一つの存在をはっきりと認識したのだ。
その存在というのはすなわち、愛、である。
毎日キッチンを使う依頼主にとって、このスパイスラックが、
幸せな空間を生み出す構成要素の一つとなればそれは
僕にとっても幸せなことである。
生きていれば時に雨風が吹くときもあるだろう。
雨風に吹かれ自分の中にある振り子が振れたとしても、
中心軸に愛があれば、本来のあるべき姿を
見失うことはないんじゃないかと思う。
これまでも、無意識に愛のこもったものを生み出して
きていたかもしれないが、意識の上で、はっきりと
輪郭をもって認識したのは、今回が初めてではないかと思う。
そしてまた、このような発見が本来なりわいとしている画業からではなく、
片手間の棚作りから得られたのは、なかなかに興味深い事象でもある。
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