2018-04-01
再会
手記とインスタグラムからの転載といま打ち込んでいる文章から成る。
まあるいまるいお月様から一粒の雫が落ちてきた。
地上に落ちたその雫は、人間の姿となった。
「言葉」というものを覚え、「感情」というものを学び、
人間と同じものを食べるようになり、成長して、
美しい女性の姿となった。
あるとき、その美しさに思いを寄せるひとりの男が現れた。
男は、彼女と一生を添い遂げたい、という夢を持つように
なった。男は、懸命であった。
しかしながら、彼女とは真の意味で交わることは
できなかった。
彼女は、「月の雫」であった。
男は、「ニンゲン」であった。
男は、何度も落胆した。
彼女もまた、何度も傷ついた。
夢は、叶うことはなかった。
ひとつの絵が残った。
人間の姿をしたその存在は、いつか還るときを想い、
まるいお月様が現れるたびに夜空を見上げていた。
そしていつの日か、再び雫となり、月へと還ってゆくのだろう。
赤子の頃に親しんだ三毛猫が、柄を変えて
再び私の元に現れたように、
戦前の、那覇は東町市場近くの商店にかつて
暮らしていた九十過ぎのおばぁの元へ、
当時の、その商店が写る写真を
届けることができたように、
畑に数十年ぶりに、うるちあわが芽を出すように、
無数の星々が集まりあって大河となるように、
目に映る光景が、懐かしくて涙が出そうになるように、
まるい月から落ちてきた、一滴の月の雫と
地上で交差したように、
わたしたちは再び、巡り逢うことができる。
久しぶりに僕は、絵を描き上げた瞬間に奥底から
こみ上げてくるものを感じて涙が眼に滲んだ。
悲しいからではない。それだけ清々とした絵を
生み出した、あるいは現出せしめた、からであろう。
この絵のタイトルは、再会、である。
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