2017-10-07
制作過程2
この構図に至るまで歳月を要したけれども、いざ紙にラフを描きはじめると
5分足らずで出来上がってしまった。
そのほんの数分のためにこれまでの時間があったのだろう。
これまでの時間、というのは、大潮ともなれイノーを歩き、夏の暑い夜は先輩と
海に潜り、貝を捕ったり魚を突いたり、時に潮に流されまいと全力でフィンを動かし、
タコと格闘し、イラブーが頭上を横切って行ったり、時には何も捕らず只々
イノーを歩き、スケッチをし写真を撮り、等々、である。
かような「至近距離」を体でもって体験してできあがった構図は
雲の上からという「遠景」であるのは自分としても興味深い。
そういった体験を一旦は手放すことによって構図というものは出来上がる
のであるが、そこに至るまでにはそれなりの道筋を辿らなければならない。
そして手放すという作業は作画を始めてからも画面の中で続けられてゆくのである。
関連記事