2025-04-29
1-3途中経過

1-3途中経過
本島からの帰り、安座真の切符売り場に
早めに戻り、併設する売店の畳コーナーで、
少し横になったのだ。いろいろあちこち
回って、ちょっと疲れてしまった。少し、
少しだけ、そしていつのまにかそのまま
夢の世界へ・・・・
体が揺さぶられる。優しく優しく、揺り篭
にいるようだ。山崎さん、山崎さん、船が、
船が、、夢のなかにいまだ片足を突っ込んだまま
ことの重大さを察知して身を起こし、窓の
外をみると、島に向かうフェリーのタラップが
上がっている、どころか、バックをし始めている。
腕時計をみる。17時を指している。
急いで、というか半ば諦めていたのだけど、
事務所のかたと乗り場まで走り、おーいおーいと
両手を振ると、既に船首を港外へと向けて前進
し始めたものが、なんと減速し一旦停止したのだ。
そしてグヮングヮンと轟音をとどろかせながら
あの巨体が旋回をはじめ、船乗り場まで戻って
きてくれたのである。
旧知の船員さんには文字通り烈火のごとく
怒られたけど、操舵している船長にお詫びに
いったら、ああ、いいよいいよと軽く笑みを
浮かべていたのが救いであった。
とにもかくにも僕は、島に戻る最終便に
乗ることができたのである。
まだ本島発の最終便がフェリーだった
ころのはなし。
ダメ元でもアクションを起こすことの
大事さを再認識した、と同時に、
それいらい絶対に売店の畳コーナーで
横にならないように決めて今日にいたる。