2024-09-11
サトウキビの根元にはハブがいる
サトウキビの根元にはハブがいる
イラブーと違って、ハブは攻撃態勢を
とるから、はっきり言って恐怖だ。
サトウキビの根元をナタで払うと
突然姿を現す。とにかく見つけたら
安全のために、仕留めるよう教えられて
いたので、夢中になってそうする
わけですが、そのあとは、皮を剥いで
内臓を捨てて頭も捨てて、身と骨だけに
なったものを、1.5~2センチほどに
切り分けて、唐揚げ粉をつけて油で
揚げる。骨ばっているが鶏肉の風味で
美味しい。
さらにサトウキビ収穫期が佳境に
入ってくると、内臓から、小指の先ほどの
肝(キモ)を取り出して、これは丸呑みする。
丸呑みだから、味はわからない。
ともかく過酷な収穫作業は、ハブの
力で乗り切ることができたといえよう。
ナタが滑って長靴ごと足の親指を
割礼してしまったり、キビのわき芽で
眼を突いたり、製糖工場が稼働している
限り休日はなく、1日1.5トン刈り出さないと
日当は減額、相部屋での軋轢、連日の雨、
もろもろ、砂糖というものは、
かくも過酷な労働の元に、産み出されて
ゆくのだなあと、感嘆ともため息とも
つかぬ息をはく。
ハーベスターという文明の重機は
当時、西表島には2台しかなく、
稼働したのは収穫期間最後の
1日、2日くらい。
計7町歩のサトウキビ畑に全身で
体当たりをして、ボロ負けに負けた。
ともかく僕は、体当たりをしたかった
のだろう。
時を経て、大宜味村の農家さん
から、8号という品種の苗をいただいて
土が痩せてるせいか大きく育たず、
ともかく命を絶やさないようにして
今日に至っている。
久高島でもかつてはサトウキビ栽培が
行われていたのだが、切り倒した
サトウキビを本島の製糖工場へ
運び出さねばならず、採算が合わないため
廃れていったということだ。
ただ、糖度はとても高かったらしい。